腫れや痛みに排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)

漢方事典

排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)は膿のある腫れや痛みによく使われます。

処方のポイント

排膿作用の桔梗や甘草を中心に、消化器を保護し賦活する生姜や大棗、甘草と止痛効果の芍薬甘草湯の構成を合わせもちます。
膿のある腫れや痛み等に適応します。
甘苦味です。

排膿散及湯が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

患部が発赤、腫脹して疼痛を伴った化膿症、毛包炎、癤腫症、毛嚢炎などの細菌性の皮膚疾患。

漢方的適応病態

化膿性疾患。

排膿散及湯の組成や効能について

組成

桔梗5 枳実3 芍薬3 生甘草3 大棗3 生姜1

効能

理気和血・排膿

主治

化膿不通

◎化膿不通:化膿物が充分に排出されない状態を示します。

解説

排膿散及湯は吉益東洞が『險匱要略』の「排膿故」と「排膿湯」を合方した処方です。
排膿作用によって、膿を外に排出することができます。

適応症状

◇皮膚腫痛

熱毒の邪気が侵入して局部の気血の流れを阻滞すると、肉が腐り壅滞して膿が形成されます。
局部が腫れて「不通則痛」となり痛みがおこります。

◇苔薄

全身症状は進行していないので、苔質に変化はみられません。

◇脈滑

膿が存在するときは滑脈が現れることがあります。
脈の変化がないときもあるでしょう。

排膿散及湯はすべて穏やかな生薬によって組成されています。

桔梗は「排膿散」にも「排膿湯」にも配合されている排膿薬で、本方の主薬です。
薬性は平で排膿作用が優れ、内癰(臓腑の癰証)と外癰(皮膚の癰証)の双方に用いることができます。
枳実の作用は理気よりむしろ破気(気滞を強く破る)に近く、局部の腫れた症状を治療します。
また化痰作用によって桔梗を補佐し、膿をすみやかに外へ排除するでしょう。
芍薬は性質の穏やかな養血和血薬で、緩急止痛作用によって局部の疼痛を鎮めます。
皮膚腫脹(気滞・血瘀)の症状に対しては理気薬(枳実)と、血分薬(芍薬)の配合が効果的です。
生甘草は清熱解毒し、胃気を保護する作用があります。
大棗は陰薬であり生姜は陽薬で、2つの薬の配合によって陰陽・気血を調和し、正気を助けることができます。

臨味応用

◇皮膚の化膿疾患

各種の皮膚の化膿疾患に用いられます。
例えば癱、癤、にきび、淋巴腺炎、蜂窩織炎、扁桃腺炎、歯槽膿漏、麦粒腫などの初期に用いられます。
全身症状が軽く、皮膚がやや赤く腫れる、疼痛をともなう場合に適しています。
本処方の主作用は排膿にあり、清熱解毒作用は弱いでしょう。

◎局部の熱感や腫れがひどいなど、熱毒が強いとき+「黄連解毒湯」(清熱解毒)

◇臟腑癰証

肺癰(肺膿瘍)、腸癰(虫垂炎など)、乳癰(乳腺炎)などの補助治療に用います。作用が軽いので初期症状に用います。

◎発熱舌紅、苔黄のとき+「黄連解毒湯」(清熱解毒)

◎腹痛発熱、便秘のとき+「大黄牡丹皮湯」(清熱涼血・排膿通便)

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